企業の情報システムの開発やWebサイト制作の現場で「ノーコードツール」といった言葉を聞いたことはないでしょうか?ノーコードツールは、社内DXを推進する上で役に立つことから多くの企業で導入実績があります。しかし実際のところ、言葉は知っているがどのようなモノなのか分からないという人が多いようです。本記事では、ノーコードツールがどのようなツールで、事業者目線で見た時のメリット・デメリットを解説し、事例についてもご紹介します。
ノーコードツールとは?
ノーコードツールとは、言葉の通りノーコードでアプリケーションを開発や制作ができます。ノーコードとはつまり、プログラミングが不要だということです。
例えばWebサイト制作の場合、従来はプログラミングスキルを使って制作を行っていました。
- 画面を構築
- Webサイトの裏側で機能開発
- データベースの開発や設計、管理や運用
- Webサイトを管理するサーバの構築・運用
上記のような専門技術が必要です。しかしノーコードアプリを使えばツール内部で処理を行うので、制作者はマウスの簡単な操作だけで完結します。
このようにノーコードアプリは、従来プログラミングして開発・制作していたモノを、プログラミングの知識がなくても出来るようになりました。
事業者目線で語るノーコードツールのメリット
ノーコードツールを自社に導入するメリットについて解説します。
- プログラマが不要
- 開発の費用・時間削減
- 開発スピードが速い
- サーバの管理が不要
1.プログラマが不要
ノーコードツールはプログラミングを行わなくてもよいので、プログラマが不要です。プログラミング経験のない人でもアプリケーション開発が実現できます。自社システムを開発・運用を行う際に、プログラミングができる人材を探したり、外部のにシステム開発を依頼したりする必要性がなくなりました。
2.開発の費用削減
ノーコードツール導入によって、システムの開発費用を抑えられます。通常の開発では、プログラミングを行うエンジニアに依頼する必要があるため高い人件費がかかります。しかしノーコードツールを利用すれば、エンジニアに依頼する必要性がなくなり、人件費が発生しないので費用削減が可能です。
3.開発スピードが速い
開発スピードが大幅にUPします。プログラミングによる開発期間は、数か月かかることが多いです。しかし、ノーコードツールを使用すれば、最短1日で完成するケースもあるようです。ノーコードツールを利用すれば、事業環境の変化や法令改正にも迅速な対応が可能になります。
4.サーバの用意から構築・運用が不要
開発したアプリケーションを管理するため、サーバの用意から構築・運用までが不要になります。これまで、システムを運用する際は管理するための専用サーバが必要でした。しかもサーバを管理する専門的知識やスキルを保有する人材、会社として管理するための工数が必要でした。
しかしノーコードツールが組み込まれていれば、ツール利用時にアプリの裏側で自動的に構築・運用を行います。ツールの利用者はサーバ関連の難しい知識や操作を意識する必要性がなくなるため、社内の工数削減につながります。
事業者目線で語るノーコードツールのデメリット
ここからは、ノーコードツール使うことによって発生するデメリットについて解説します。
- 自由度が低くなる
- プラットフォームに依存する
- アプリの実行速度が遅い
- 日本語の情報が少ない
1.自由度が低くなる
ノーコード開発は、従来のようなプログラミングによる開発と比較して自由度が低くなります。オリジナルのプログラム開発では、実現したいことに合わせて組むことが可能です。一方でノーコードツールは、あらかじめ利用できる機能が制限されているため、開発の柔軟性に欠けます。開発する本来の目的を達成できなければ、会社として導入する意味がなくなる恐れもあります。
2.プラットフォームに依存する
ノーコード開発は、ツールに依存します。つまり、ノーコードツールの運営会社に依存するということです。運営する会社になにかしらのアクシデントが起こって運営できないとなれば、システムは消滅します。会社の資産の1つでもあるシステムをすべてノーコードツールにするのは、ややリスクが高くなると考えられます。
3.アプリの実行速度が遅い
ノーコードツールで制作したアプリは、プログラミングで開発したモノよりも実行速度が遅い場合があります。ノーコードアプリも裏側ではプログラムを自動生成して動作しています。自動生成される分、余計なプログラムも生成されることがあり、アプリの動作が遅くなってしまうというわけです。
4.日本語の情報が少ない
海外製のノーコードツールも多く非常に便利ではありますが、日本語版が適用されていなかったり日本語の情報サイトが少なかったりします。海外ではよく使用されているツールでも、日本国内で利用されている割合はそこまで高くありません。今後、国内でのノーコードツールの利用が今よりも多くなれば、より日本語の情報が増えてくることでしょう。
ノーコードツールの導入によるDX事例
ここからは、ノーコードツールを使って具体的にどういったDXが過去に事例としてあるのかご紹介します。
【事例①】業務アプリが簡単に作れるノーコードアプリ「サスケWorks」
サスケWorksとは、ドラッグ&ドロップの直感的な操作で業務効率化アプリが開発が可能です。プログラミングの知識がなくても開発できます。
バスケットボールチームである株式会社レバンガ北海道は、手書きで書かれているファンクラブやバスケットボールアカデミーへの申込書を、AI OCRの技術を使いデータ化作業を効率化しました。
【事例②】京セラ:巨大倉庫の在庫管理に棚卸アプリを開発
京セラ株式会社は、素材や電子部品などの様々な製品を開発・生産・出荷や物流まで幅広く事業を展開しています。同社の製品倉庫では、以前まで紙のリストを使用して、毎日棚卸を実施していました。紙のリストを使用した棚卸には、次のような課題がありました。
- 紙の棚卸リストの受け渡しによる巨大な倉庫内での移動が頻繁に発生
- 棚卸リストを目視でのダブルチェックが必要
そこで、ノーコードツール「Platio」を使って、紙の棚卸リストをモバイルアプリ化。「Platio」は業務用のモバイルアプリをノーコードで開発することができるツールです。アプリ内には入出荷があったリストが表示されるので、現場では表示されるリストに沿って棚卸結果をアプリ内で行うだけで完了となります。さらに、アプリのシステム内部で自動的にダブルチェックを行ってくれます。今回のアプリ開発によって、紙の棚卸を行っていた際に抱えていた課題が解消されました。
【事例③】1クリックでデータ入力を自動化できる「AI JIMY Paperbot」
データ入力業務をすべて自動化するためには、AI OCRエンジンやRPA、仕分けツールなどさまざまなプログラムを組み合わせる必要がありました。ひとつずつのプログラムに使用料がかかるため費用は相応に高くなり、中小企業や小規模事業者にとって導入が難しくなりがちです。
「AI JIMY Paperbot」は、AI OCRエンジン・RPA・仕分けツールすべて1つのアプリケーションにしたツールです。具体的には、スキャン機能や仕分け、AI OCRによる文字認識、認識結果の修正、PDF・CSVへのデータ出力、システムへの入力をロボットが自動で行うRPA機能が搭載されています。「AI JIMY Paperbot」を使えば、お客様から頂いた注文書や発注書のデータ入力全てが、1クリックで自動化することができます。
まとめ
ノーコードアプリを使うことで、システム開発やWeb制作をプログラマがいなくても、簡単かつ迅速に開発することができるようになりました。プログラマが不要になることで、人件費を抑えるたり開発期間の短縮化を図ったりすることができます。ぜひこの機会に検討してみてはいかがでしょうか。