経済産業省が発表しているDXレポートというものをご存じでしょうか?国をあげて取り組もうとしているDX戦略について、詳しく説明されています。DXレポートでは企業の課題や進め方まで解説していますが、DXという言葉だけで取り組みにくいと感じている方も多いかもしれません。この記事では、DXレポートがどういったものか、なぜDXを推進するのかなどをわかりやすく紹介します。
DXレポートの内容とは?
DXレポートとは、2018年に経済産業省が公表したレポートです。内容は「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」がまとめ、2022年の「DXレポート2.2」まで4回発表されています。
DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~
発表された当初、多くの企業がデジタル技術の活用が重要であると考えながら、改善に手を付けることができていないと示しています。また、既存システムが老朽化・複雑化・ブラックボックス化が進んだ場合、セキュリティの問題はもちろん、メンテナンス料の高騰や対応人材が少なくなると記載。
既存システムを引き続き運用していくには、維持するための資金や人材がそこに割かれてしまうので、企業戦略に回すべき資金や人材を振り分けられないといった悪循環に陥ってしまうとしています。
特に仕事がうまく回っているうちは、老朽化したシステムは問題と思う企業が少ないことも指摘。レポートの後半には課題を企業としてどのように解決していくかを検討しています。
参照元:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(METI/経済産業省)
DXレポート2 中間とりまとめ
2年後に提出されたDXレポート2には、DX推進指標の自己診断に参加した企業のうち9割がDXに未着手と回答。変革への危機感が2年を経過しても低いままだと危惧しています。
しかし、コロナの影響により一部企業でテレワークや社内ITインフラの整備が急速に行われ、対面営業や客先常駐を含めて幸か不幸かこれまでの企業文化に疑問を持った会社とそうでない会社の分かれ目がはっきりしたとしました。
さらに事業を取り巻く環境の変化に対し、いかに早く対応するかがITだけではなく固定観念化した企業文化を変革するのに重要であると改めて明確になったとしています。
今回のレポートでは、企業が取り組むべきアクションとしてDX推進の方向性なども具体的にされています。そのほか、政府の政策についても発表されていますので、一度目を通してみてください。
参照元:デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会の中間報告書『DXレポート2(中間取りまとめ)』を取りまとめました (METI/経済産業省)
DXレポート2.1(DXレポート2追補版)
翌年の2021年に、前回の追補版として発表されたDXレポート2.1ではITを利用するユーザー企業とベンダー企業の関係性や両社の課題を具体的にしています。
また新たに理想のデジタル産業と既存のITベンダーを比較しているので、自社の足りない面なども見直すことができるのではないでしょうか。そのほかの検討状況についても、進捗が掲載されています。
参照元:デジタル産業の創出に向けた研究会の報告書『DXレポート2.1(DXレポート2追補版)』を取りまとめました (METI/経済産業省)
DXレポート2.2
2022年7月に公開されたDXレポート2.2は、デジタル産業への変革に向けた研究会より下記のような概要であると示されています。
デジタル産業への変革に向けた具体的な方向性やアクションを提示
引用元:DXレポート2.2
DX推進について多くの企業が関心を持ち取り組もうとしているが、実際には変革に向けての投資というより業務効率化への投資が多いとしています。本来企業成長を促すためのDX投資が、既存ビジネスを維持することが目的となっていることを指摘。結果が出ている企業も、1割未満との報告です。
そこで今回のレポートでは、DXを成功させるために具体的な方向性を既存ビジネスと新規ビジネスに分けて記載。達成するための要因もそれぞれ報告されています。
また経営者として企業全体で何を行っていくべきかを示した「デジタル産業宣言」を策定することを推奨し、DX推進の目指すべき姿を常に発信するようまとめました。
DXレポートをなぜ公表することになったのか
2018年に初めてDXレポートが公表された際に、以下のような課題をあげています。
- DXについて理解は示すものの経営層としてのコミット不足
- 古くなった既存システムから脱却できず改修に甘んじている
- ユーザー企業がベンダー企業にすべて任せている
以下詳しく見ていきましょう。
DXについて理解は示すものの経営層としてのコミット不足
発表された当時でも経営側としてはDX推進について、今後行っていくべきものとして位置付けているところも多かったようです。しかし実際には、経営戦略に落とし込まれていなかったり、なんとなくやらなければいけないというところから部下頼みになったりしています。
DXでは最終的にビジネスの変革を求められるため、会社の進むべき方向性をしっかりと打ち出さないとどんなに良いシステムを入れても入れただけにとどまります。そういった意味では、このレポートではコミット不足としているようです。
古くなった既存システムから脱却できず改修に甘んじている
取引先の仕様変更には少しの改修で良いと考えて既存システム使い続けていくと、後付けの修正システムが膨大になっていきます。システムはどんどん複雑化し、そのメンテナンスに時間を取られてしまうことになるでしょう。
また担当者が在籍しているうちは良いですが、担当者が変わったとたんに複雑すぎてわからなくなる、いわゆる「ブラックボックス化」が進んでいた状態に陥ります。
そのほか2025年までにIT人材が約43万人不足、これまで大手企業も使用していた大型汎用システムの保守が終了する*といった問題が出てくるとしています。
*ここで言う大型汎用システムはSAPのERPのことで、DXレポート発表後2027年まで保守を延長しています
このように問題が山積みとなっている点をDXレポートで「2025年の崖」と表記しました。
ユーザー企業がベンダー企業にすべて任せている
日本の場合、ユーザー企業が導入しているシステムはメンテナンスなどを含めてすべてベンダー企業に任せきりのところが多いことをレポートでは危惧しています。専門職がいない中小企業もあるので、ベンダー企業に頼るのは良いのですが、本来の目的を失ったシステム構築は見直そうということです。
DX推進の本来の意図を考えると、ユーザー企業がビジネスを変革するのにベンダー企業とともに協働で進めなければいけません。そのため、ユーザー企業は提供されるシステムや技術について詳しく知って、どのようなビジネスに役立てるのかを決めておく必要があります。ベンダー企業は自社の技術提供だけでなく、使用するユーザーが最終的に得られる価値について考えていかなければなりません。
この関係が間違った方向に進むと、ただの業務改善で終わってしまいます。ともに変革を目指せる関係性が必要です。
DXレポートが示す対応策
推奨する対応策としては、年代ごとで各レポートに記載されていますが概ね下記のようにしています。
- ITシステムの刷新を目指し、実現したいゴールの共有
- DX人材の育成と確保
- 経営戦略やDXにかかわる方針の発信
ITシステムの刷新を目指し、実現したいゴールの共有
2018年の最初のレポートからDXレポート2.2が発表されるまでの4年間、DX推進のために行動を起こしている企業は1割程度しかありません。当初から既存システムの更新を訴えていますが、リスクが大きすぎることを理由に進まない企業も多いようです。
またDXを誤って解釈している様子も見受けられ、現状の業務効率化や管理のしやすさだけにとどまっている様子が伺えます。ITの刷新によって自身のビジネスがどのように変革すべきなのか、もう一度具体的な将来像を考える必要があるようです。
DX人材の育成と確保
2020年のコロナ禍以降、大手企業ではIT人材の確保が急速に高まっています。「確保」としていますが、中小企業では新たな人材を雇い入れることが難しい状況もあるでしょう。
大手企業の中には、DX人材の育成を目指しリスキリングを推奨しているところも出ています。リスキリング(Re-skilling)とは、今持つ自身のスキルとは別に新しいスキルを身に着けるという意味で使用されています。特にITのスキルを身につけて自社に貢献するといった意味合いが強いようです。
たとえば、マーケターがAIやプログラミングのスキルを身に着ける、物流管理者がシステム構築を学んでアーキテクトに職種替えするなどです。
大手海外企業もこのようなトレーニングには大きく予算を割いて、新たな職種の人員を確保しようとしています。日本では一度就いた職種から新しいスキルを身につけて同じ会社の別職種に就くということは少ないかと思います。
外部からの人材確保が難しくなるのであれば、社内の人材を活かす動きも必要です。
経営戦略やDXにかかわる方針の発信
DX推進が進まないのは、一部の部署のみに指示が出ていて社内全体として取り組めていないとレポート内で指摘されています。DXの目的は、ビジネスを変革させて収益向上を図ることです。経営戦略なしに、進めるのは難しいでしょう。
まずはDX推進に対する自社の行動指針を社員に浸透させて、創出する価値を社外に発表し「宣言」という形で策定するべきとDXレポート2.2では提案されています。
また、経済産業省ではDX政策の進捗をレベル分けし、現在の企業の位置をわかるようにして競争力を高めようと検討しています。
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まとめ
2018年に公表されたDXレポートから現在の状況までを解説しました。内容として1年に1度は見直され、新たに検討するものなどが追記されていきます。レポート自体は一見難しく感じるかもしれませんが、簡易版も公開されており知っておくべきことがまとめられています。国としてDXによる各企業の変革に期待をし、指揮者とともにさまざまなアドバイスを考えているようです。レポートを読み解きながら、ぜひ一つひとつクリアしていってみてください。達成するころには、もしかしたら新たなビジネスが見えてくるかもしれません。