少子化や企業の人手不足が問題視される中、RPAという自動化ツールを使った事務処理の効率化が注目を集めています。RPAは、事務処理を自動化するためのツールです。事務処理の効率向上だけでなく、様々な業務の生産性を向上させてくれます。本記事では、事務処理の効率化を成功させた事例も紹介していますので、ぜひご参考にしてください。
事務作業自動化の必要性
事務作業の自動化は、オフィス業務全般の効率化を推進する上で非常に重要です。多くの企業が日々直面している業務の無駄や非効率な作業は、長期的に見ると大きなコストやリソースの浪費につながります。ここでは、業務フローの見直しやペーパーレス化、データ整理、そして作業効率の向上といった具体的な取り組みを通じて、オフィス業務を最適化する方法について解説します。
業務の無駄を削減する
まず、業務フローや社内マニュアルを見直し、業務内容を明確にしていきましょう。業務の実態や無駄な部分を検証し、不要な業務を削減していきます。非効率な業務や課題を見つけることは、業務を効率化するうえで欠かせません。
非効率な業務の改善策を話し合い、スムーズな作業を目指します。同じ作業を繰り返す手間を省くために、ツールやシステムの活用も検討しましょう。さらに、問題の原因を特定し、改善策を検討します。
このような自動化の取り組みにより、手作業に依存していた業務が効率化され、年間で100時間以上の作業時間が削減されるとともに、ヒューマンエラーによるコストも大幅に低減されます。
データのペーパーレス化をする
社内情報や顧客データをデジタル化することで、必要な情報を簡単に検索できるようになります。書類をファイリングする代わりに電子化すると情報を共有でき、アクセス速度も向上します。
さらに、ペーパーレス化では保存場所が不要になり、書類の印刷やバインダーのコストが削減され、結果としてコストが抑えられます。デスク周りの整理が不要になるため、情報検索にかかる手間や時間を大幅に削減できます。
データの整理を行う
既存の情報を整理し、整頓することは、事務処理の効率向上に寄与します。必要のないデータを削除したり、情報を共有フォルダに移動させて、業務の依存度を低く保つために、個人だけでなく部署全体でPC上のデータ整理を実施する必要があります。
また、定型文をあらかじめ登録したり、Excelの関数を一覧表として作成して共有することも、業務の効率化に有益です。作業しやすい環境を整え、文書作成や表計算の効率を向上させましょう。
資料作成などを定型化する
作成される社内文書や資料は、共通のフォーマットを整えることで、業務の効率が向上します。例えば、納品書や請求書は社内で使うテンプレートを用意し、標準化することで、誰でも簡単に作業できます。
さらに、業務の標準化を促すために、業務マニュアルを作成することが有益です。日々の業務をマニュアル化することで、業務のスムーズな進行が可能となります。従業員の作業手順を統一すれば、ミスの防止や業務の障害発見にも役立ちます。
個々の作業効率を上げる
個々の作業効率を向上させるためには、設備投資だけでなく、作業環境の整備や時間管理の工夫も重要です。パソコンのアップグレードやデュアルモニターの導入は効果的ですが、デスク周りの整理や静かな環境の確保も、集中力を高めます。
また、タスクの優先順位付けやポモドーロ・テクニックを用いた時間管理も、効率的な作業を支援します。さらに、業務プロセスの改善や自動化ツールの活用、スキルアップのトレーニングを通じて、全体の生産性を向上させることが可能です。健康管理やストレス対策も忘れず、長期的に高いパフォーマンスを維持しましょう。
事務作業を自動化し成果を上げた企業の事例
事務作業の自動化は、業務の効率化だけでなく、コスト削減や精度向上にも寄与する重要な施策です。特に、反復的で時間がかかる作業において、自動化の効果は顕著に現れます。ここでは、実際に自動化を導入し、具体的な成果を上げた企業の事例を紹介します。それぞれの企業が抱えていた課題と、その解決に向けたRPAツールの活用方法を通じて、事務作業自動化のメリットを明らかにしていきます。
フォルダやファイル整理
ある企業では、日常的に顧客から大量のパスワード付き圧縮ファイルをメールで受け取っており、それらを手動で処理することが大きな負担となっていました。この煩雑な作業を効率化するために、RPAツールを導入し、次のような自動化シナリオを作成しました。
まず、メールに添付されたパスワード付き圧縮ファイルをRPAが自動で解凍します。次に、命名ルールに基づいてファイル名を変更し、社内のファイルサーバーの所定の場所に格納します。この3つの業務を自動化した結果、メール選別作業の工数が大幅に削減されました。年間で150時間以上の作業時間が削減され、ヒューマンエラーによるコストも30%減少しました。
RPAツールの導入により、煩雑な業務を効率的に処理できるようになり、特に繰り返し行われる業務での効果は顕著です。顧客対応の迅速化と業務の正確性向上を実現し、企業全体の生産性向上に寄与しました。
オフィス用品の発注や請求処理
別の企業では、オフィス備品の発注業務が煩雑であり、手作業による発注書作成に多くの時間が費やされていました。RPAを導入することで、発注書の作成が自動化され、手書きで発注書を作成する手間が削減されました。その結果、書き間違いや数量の誤りが減少し、正確な発注が可能となりました。
また、請求処理においても、RPAが一度入力された取引先の情報を記憶し、請求書の宛名や記載内容のミスを防止しました。さらに、RPAは24時間体制で請求業務を遂行できるため、日中の業務負担を軽減し、処理速度も向上しました。具体的には、請求書発行のミスが60%減少し、処理時間が従来の半分以下に短縮されました。
契約書の作成
ある不動産会社では、大量の契約書を作成する業務が負担となっていました。RPAの導入により、契約書作成に必要な情報がExcelに整理され、自動で必要な書類が生成されるようになりました。さらに、クラウド上での契約では、最終チェック後にデータを送信するだけで完了するため、業務が効率化されました。書面契約の場合も、印刷作業が自動化されたことで、作業時間を50%削減することに成功しました。
これらの自動化により、契約書作成のプロセスが大幅に効率化され、従業員は他の重要な業務に時間を割けるようになりました。結果として、業務全体の精度が向上し、顧客満足度の向上にもつながっています。
事例に基づいた事務作業を自動化する手順
事務作業の自動化を成功させるためには、適切な手順に従い、計画的に進めることが重要です。自動化の効果を最大限に引き出すためには、どの業務を自動化するべきかを見極め、導入するツールの選定から、運用後の管理体制の確立まで、段階的に取り組む必要があります。ここでは、具体的な事例に基づき、事務作業を自動化するための手順を詳しく解説します。これらの手順を参考に、効率的かつ効果的な自動化プロジェクトを進めていきましょう。
自動化させたい業務を見つける
自動化を目指す業務を選定するために、業務の全体像を把握する棚卸しを行いましょう。社内で行われている業務を整理し、自動化に向いているものを見極めていきます。自動化にふさわしい業務とは、主に次のような特徴があります。
- ルール変更が少なく、作業手順がシンプルなもの
- 月次ないしそれ以上の頻度で行われる業務
- 反復作業が多い業務
- 時間を要する業務
- ルールを容易に定められるもの
これらの業務は生産性が低く、多くの労力が必要となるものが多いです。その結果、担当社員のモチベーションを保つことが難しい特徴があります。例えば、月初や月末の勤怠管理の集計業務や日報作成などがこれに当たります。
業務の流れを確認する
RPAをスムーズに活用するためには、できるだけ人手を介さない業務を増やすことが不可欠です。最適な効果を得るためには、どのようなプロセスが必要かを検討します。業務のフローを確認する際には、実務経験を持つ方々の意見を大切にしましょう。
導入するRPAを選定する
自動化したい業務や流れが確認された時点で、RPAツールの選定を行います。それぞれのRPAツールの得意分野と不得意分野を理解し、自社の業務に最適なものを選ぶようにしましょう。
さらに、既存のシステムとの互換性や導入コストが費用対効果にどう影響するかを調査します。初めてRPAツールを導入する場合は、充実したサポートを受けられるツールやアフターサービスが提供されているツールを選択することが良いでしょう。
RPAに関する教育を社員に行う
RPAツールを導入した後、窓口となる担当者の配置だけでなく、業務が一人に担われないように、RPAに関する教育を他の社員にも行う必要があります。一般的に、RPAはエンジニアなど特別なスキルを有する人にしか使えないと誤解されがちですが、それは実際と異なります。
RPAを利用するためには、必ずしもプログラミング技術を持つ必要はありません。実際、RPAツールを利用するのは、プログラミングスキルを持たない経理や営業などの人が主流ですが、操作方法を適切に習得すれば、多くの人がスムーズに使用できます。
RPAツールのベンダーやサポートセンターは、社内の人材育成にもサポートを提供してくれる場合があります。無料で研修を提供しているベンダーも存在するため、社内での教育に困難がある場合は、外部の支援を利用しましょう。
RPAの管理についてのルールを決める
RPA運用後、管理に関する規則を確立しましょう。規則の整備が怠られると、RPAの作動状況を把握するのが難しくなります。複数のRPAが同時に作動していたり、コストが無駄にかかる、業務がシナリオどおりに進まないエラーが起こる可能性もあります。
さらに、トラブルやエラーが発生した際、担当者が明確でないと適切な対処ができません。RPAの効果的な運用を実現するためには、規則を策定し、運用ガイドラインを作成する必要があります。
全体の管理者の設定だけでなく、複数の部署でRPAを利用する場合、部署ごとに担当者や責任者を任命することも業務の依存を防ぐために重要です。
社内で事例を共有する
RPAの導入後、管理ルールが確立されたら、社内で具体的な活用事例を共有していきます。RPAは、知識の共有が難しく、メリットを伝えても理解しづらいという特徴があり、社内で共感を得るのが難しいです。
実際の導入事例を共有することで、RPAの理解を深め、メリットを共有することが重要です。RPAを積極的に導入し、事務処理の効率化を図りましょう。
事務作業自動化に役立つツールやソフトウェア5選
事務作業の自動化を成功させるためには、適切なツールやソフトウェアの選定が不可欠です。効率的な業務遂行や生産性向上を実現するために、どのようなツールが役立つかを知ることは、現代のビジネス環境において非常に重要です。ここでは、特に事務作業の自動化に効果的な5つのツールやソフトウェアを紹介します。それぞれの特徴や導入のメリットを理解し、自社のニーズに合ったツール選びの参考にしてください。
RPA
RPA(Robotic Process Automation)は、ソフトウェアロボットを使って、日常的に繰り返し行われる業務を自動化するツールです。RPAは、あらかじめ設定されたルールや手順に基づいて、データ入力やファイルの整理、メール処理などの定型業務を自動で実行します。従業員が行っていた手作業の一部をソフトウェアに任せることで、業務の効率化とミスの削減が可能になります。
具体的には、RPAは勤怠管理のデータ入力や経理業務における伝票処理といった、大量のデータを扱う作業に適しています。例えば、RPAを導入することで、勤怠データを手動で入力する必要がなくなり、ロボットが自動的にシステムに入力してくれるため、時間と労力が大幅に削減されます。
RPAの大きな利点は、プログラミングの知識がなくても操作できる点です。業務に詳しい担当者が簡単に設定や運用を行えるため、導入が比較的容易で、短期間での効果が期待できます。また、24時間体制で稼働できるため、業務のスピードアップやコスト削減にも貢献します。
AI OCR
AI OCR(Optical Character Recognition)は、紙の書類や画像に含まれる文字情報をデジタルデータとして読み取るためのツールです。従来のOCRは、活字や印刷された文字の認識に限定されていましたが、AI OCRは人工知能を活用することで、手書き文字や複雑なレイアウトの書類も高精度に認識することが可能です。
AI OCRは、特に請求書や領収書、申込書などの書類を電子化する際に効果を発揮します。AIが過去のデータを学習し続けることで、時間が経つにつれて認識精度が向上し、手作業での入力作業を大幅に削減できます。
たとえば、ある企業では、AI OCRを導入することで手書きの請求書を自動的にデータ化し、手作業での入力ミスを減少させ、業務効率を向上させました。AI OCRの導入により、年間で数百時間の作業時間が削減され、処理速度も向上しています。
オンラインストレージ
オンラインストレージは、データをインターネット上のクラウドサーバーに保存するためのサービスです。代表的なものには、AppleのiCloudやGoogleのGoogle Driveなどがあります。このツールを利用することで、データを安全に保管し、業務に必要な情報を社員間で簡単に共有できます。
オンラインストレージを活用すれば、物理的なファイルの出力や保管が不要となり、時間やコストの削減が可能です。また、社員が時間や場所を問わずにアクセスできるため、リモートワークやフレキシブルな勤務体制を支援します。さらに、ストレージ容量に応じて無料プランから有料プランまで選択肢があるため、自社のニーズに合わせた利用ができます。
タスク管理ツール
タスク管理ツールは、プロジェクトや業務の進捗を管理し、各メンバーの作業状況を可視化するためのツールです。タスクの割り振りや進捗状況の把握、ToDoリストの作成が可能で、プロジェクト全体を効率的に管理できます。
このツールを活用することで、チーム全体の作業内容が一目で確認でき、タスク漏れや進捗の遅れを防ぐことができます。上司や同僚のサポートも得やすくなり、コミュニケーションの円滑化にもつながります。さらに、タスクの完了状況を共有することで、メンバーのモチベーション向上にも貢献します。
マニュアル作成ツール
マニュアル作成ツールは、業務手順書やガイドラインを効率的に作成・共有できるツールです。クラウドベースのマニュアル作成ツールを利用すれば、場所を選ばずにマニュアルを作成・編集でき、社員全員が最新の手順にアクセスできます。
従来の方法では、WordやExcelでの手動作成に多くの時間がかかっていましたが、マニュアル作成ツールを活用すれば、テンプレートを利用して簡単に作成でき、作業時間を大幅に短縮できます。さらに、オンラインで公開することで、社員が必要なときにすぐにアクセスでき、業務の効率化に寄与します。
事務作業自動化を成功させるためのポイントと注意点
事務作業の自動化を成功させるためには、単にツールを導入するだけではなく、戦略的なアプローチが求められます。自動化の効果を最大限に引き出すためには、どの業務を効率化すべきかを明確にし、正しい手順で進めることが重要です。また、従業員の理解と協力を得ながら、柔軟に対応していくことも必要です。ここでは、事務作業自動化を成功させるための具体的なポイントと注意点について詳しく解説します。
業務の効率化をしたいところをはっきりさせる
社内の全業務を効率化することは容易ではありません。まず、効率化を図りたい具体的な項目を洗い出し、その目的を明確に定めましょう。例えば、「業務の品質を一貫させたい」といった理想も明確にしておくべきです。
マニュアルを作成し、仕事の質を一定にする
企業において働く際に、マニュアルは従業員たちの業務品質を均一化するための重要な手段となります。仕事を行う上での心構えや遵守すべき規則もしっかりと明記しておくことで、業務に対する意欲を高めつつ、効率化に向けた取り組みを行うことができるでしょう。
業務へのこだわりを捨てる
業務の効率化や品質に注力することは肝要ですが、極端にこだわりすぎると逆効果になる場合があります。完璧な成果を追求するよりも、効率的に目標達成する方法を模索しましょう。
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ひとつのツールで完結
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自動でファイル名を変換
1クリックでリアルタイム処理を行い、任意で電子帳簿保存法の改正にも対応したファイル名に自動で変換可能です。
AI類似変換で文字認識が向上
日本語の認識は、手書きも含めてかなり高い精度で変換できます。間違いやすい商品名などの固有名詞は、あらかじめAI JIMY Paperbotに登録しておくことでさらに認識率が向上します。
多様な業務で活用
さまざまな業務で使用が可能です。FAXの受注入力、請求書の集計、手書きアンケートや申込書のデータ入力、作業日報のデジタルデータ化など多岐にわたる業務プロセスをサポートします。
まとめ
事務作業の自動化は、業務効率の向上やコスト削減に大きな効果をもたらしますが、成功させるためには計画的なアプローチが不可欠です。まずは、自動化すべき業務を明確にし、その目的をしっかりと定めることが重要です。次に、業務の標準化やマニュアルの整備を行い、作業の質を一定に保つことで、全体の効率化を図ります。また、自動化に固執しすぎず、柔軟に改善策を取り入れる姿勢が求められます。最後に、適切なツールの選定や従業員の教育を行い、トラブル発生時の対策を講じることで、事務作業自動化の成功を確実なものにします。この記事で紹介したポイントを押さえることで、貴社の業務効率化に向けた取り組みがより効果的に進められるでしょう。