昨今、ITの発展によりどの企業にもDX化を求められるようになっています。人材不足により作業効率を図らざるを得ない今、DXを進めるのは避けられないのかもしれません。DXを進めるにはハードルが高いと思うでしょう。しかし、作業効率化だけでなく多くのメリットを受けられる可能性があります。さらにDX認定事業者に合格すれば、多くの恩恵を受けられます。この記事では、DX認定事業者とは?から取得方法、メリットまで解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
DX認定制度とは?
2020年に改正された「情報処理の促進に関する法律」に基づいて制定されたのがDX認定制度です。(参照サイト:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-nintei/dx-nintei.html)
DXの準備が整っている企業の申請を受け、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が審査事務を行い経済産業省により合格が決定されます。認定後は、DX認定事業者として名刺や広告にロゴを利用することができ、DXに積極的に取り組んでいる企業としてPRが可能です。
認定ロゴをさまざまなところで利用することで、同業他社との差別化もおこなえるでしょう。また、経済産業省のDX認定事業者一覧にも掲載されていて、2022年12月時点で574件の企業が認定されています。
DX認定の審査基準や申請方法
DX認定を受けるために、すでにDXが進んでいる必要はありません。これから取り組む企業も申請を行えます。認定には、経済産業省が発表しているデジタルガバナンス・コードに対応する必要があります。
(参考サイト:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc.html)
デジタルガバナンス・コードに記載されている下記6項目を基準にして審査が行われます。
- ビジョン・ビジネスモデル
- 戦略
- 組織づくり・⼈材・企業⽂化に関する⽅策
- IT システム・デジタル技術活⽤環境の整備に関する⽅策
- 成果と重要な成果指標
- ガバナンスシステム
DX認定を受ける際の申請書には、上記項目と申請内容の関係性を下記のようにしています。
デジタルガバナンス・コードに詳細は掲載されているので、そちらと照らし合わせながら自社の内容をチェックしてみてください。なお、申請要項について2022年9月に一部改訂されているので、申請する際は必ず新しいチェックシートと申請要項をダウンロードして確認することをおススメします。
申請書を作成するまでは経営方針にかかわることが多く大変ですが、申請はIPAのサイトにある「DX推進ポータル」より登録していくのみとカンタンになっています。
DX認定を取得するメリット
DX認定事業者になると企業としてどのようなメリットがあるのでしょうか。いくつかメリットを紹介していきます。
1.自社の課題を整理できる
DX認定を申請する際に、自社のビジョンやビジネスモデル、戦略を立て公表する必要があります。DXはITを活用するだけでなく、ビジネスモデルの変革やサービスを利用することで起こる生活の変化も期待されます。申請時のチェックシートに沿って自社のDXを進めていくので、自ずと課題が整理されるでしょう。
2.企業のイメージや価値が向上する
DX認定事業者は、IPAが公開しているDX推進ポータルの認定事業者一覧に掲載されています。事業者の一覧は誰でも検索できるようになっていて、積極的にDXに取り組んでいる企業として認識されます。企業の大小関係なく一覧となっているため、社会的な信用度や企業価値、イメージなどの向上も期待できるでしょう。
3.税制優遇がある
DX認定事業者は「DX投資促進税制」により、税額控除または特別償却の適用が受けられます。対象となる設備は、ソフトウェアや機械装置といった「情報技術事業適応設備」のほか、クラウドシステムに移行する際にかかる初期費用などの「事業適応繰延資産」です。
税額控除の場合は対象設備購入費用の3%、特別償却は対象設備購入費用等の30%となっています。ただし、控除上限額は法人税額の20%となります。本来は2023年3月末の期限でしたが、2025年3月まで延長となったのでぜひ活用してみてください。
4.中小企業は支援などが優遇される
DX認定された中小企業は、日本政策金融公庫から設備投資などに使用する資金の融資を低金利で受けられます。ほかにも民間金融機関からの融資を受ける際、信用保証協会から受ける保証の増枠や中小企業信用保険法の特例など、多くの支援が受けられるようになります。
5.DX銘柄に応募が可能
DX銘柄は、経済産業省と東京証券取引所、IPAがビジネスモデルをDXで変えている国内上場企業を1年に1回選定します。投資家からの評価はもちろん、大きく発表されるので企業としても注目されるでしょう。1度DX銘柄になったら翌年以降は選ばれないということはなく、何度も選ばれる可能性があります。
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まとめ
DX認定は、取り組みを評価するので申請する業種は選びません。税制優遇などをはじめ、企業価値も高まります。またDXに積極的であるとみなされるため、新卒に限らず中途採用といった求人面においてもインパクトを与えるのではないでしょうか。認定のハードルは比較的高いことはなく、2年に1回更新はありますが策定した計画を進められていれば、維持もさほど難しくないはずです。チェックシートで自社を見直すだけでもかなり有益なので、ぜひチャレンジしてみてください。