
「請求書や領収書、契約書などの紙書類をデジタル化し、業務の効率化を図りたい。」
そんなニーズに応える技術として、OCR(光学文字認識)は今や欠かせない存在です。さらに近年では、生成AIの進化によって「読み取った情報をどう活用するか」までを含めた処理が可能になりつつあります。
Microsoftが提供する「Copilot」は、まさにそうした進化を体現するツールのひとつ。EdgeやWord、Excelといったおなじみのアプリに統合されており、OCR機能も備えています。PDFや画像からテキストを読み取るだけでなく、文書の要約や構造化も自動で対応してくれるのです。
今回は、実際に請求書を使ってMicrosoft Edgeに搭載されたCopilot(Edge Copilot)のOCR的な機能を試し、その活用方法や注意点、Webブラウザ上での利便性について詳しくご紹介します。
Copilotとは?
「Copilot(コパイロット)」とは、Microsoftが展開する生成AIアシスタントの総称で、現在はさまざまな形で製品に組み込まれています。代表的なものには以下のような種類があります。
- Windows Copilot:Windows 11に組み込まれており、設定変更やファイル検索、アプリ操作などをAIに自然言語で依頼できる
- Microsoft 365 Copilot:WordやExcel、Outlookといった業務アプリに統合され、文章作成やデータ分析、メール返信などを支援
- Edge Copilot(本記事で扱う):Microsoft Edgeブラウザに搭載されており、Webページの要約やPDFの読み取り、検索支援などを行う
これらはいずれも生成AI技術をベースにしており、ユーザーの操作を補助したり、業務の効率化を支援したりする役割を果たします。
本記事で取り上げるのは、Microsoft Edgeに組み込まれたCopilot(Edge Copilot) です。ブラウザ上で利用できる手軽さが特長で、PDFやWebページのOCR処理・内容要約などにも活用できます。追加のアプリインストールやMicrosoft 365の契約がなくても利用できる点も魅力です。
次章では、このEdge Copilotを使って請求書PDFの内容を読み取り、どこまで使えるのかを実際に検証してみます。

Copilotで請求書OCRを試してみよう
Microsoft Edgeに組み込まれたCopilot(Edge Copilot)は、WebページやPDFの読み取り、要約、質問応答などを自然言語で行える便利なツールです。ここでは、Edge Copilotを使って請求書PDFをOCR処理する手順を紹介します。
① Edge Copilotを開く
Microsoft Edgeを起動すると、ブラウザ右上に「Copilot」のアイコンが表示されているはずです。これをクリックすると、ブラウザ右側にCopilotパネルが表示されます。

サインインしていない場合は、Microsoftアカウントでログインするよう求められることがあります。必要に応じてサインインしてください。
② 請求書のPDFを用意
今回は、下記の画像を使ってみます。

③ ファイルをCopilotにドラッグ&ドロップ
Copilotパネルの入力欄に向かって、用意した請求書のPDFファイルをドラッグ&ドロップします。アップロードが完了すると、ファイル名が表示され、CopilotがPDFを読み取り対象として認識します。

※この時点では処理は始まっていません。次のステップで指示を与える必要があります。
④ 指示を入力して処理を開始
ファイルがアップロードされたら、Copilotのチャット欄に指示を入力します。
「こちらのPDFからすべてのテキストを抽出して」

と入力すると、以下のようにPDFファイルからすべてのテキスト情報を抽出してくれました。

レイアウトが整ったPDFであれば、精度高く内容を抽出してくれますが、スキャン画像ベースのPDFでは一部情報が抜ける場合もあります。必要に応じて追記や修正を行いましょう。
Edge Copilotでデータ化した文字を加工して利用
前述のように、テキスト情報すべてを抽出し、コピペ利用して別システムに転記をしても良いですが、ここからはEdge Copilot上でプロンプトを工夫して集計等のデータ加工をしてみましょう。
請求内容のみを抽出
「請求内容のみを抽出」と指示を出すと、下記のように出力されます。請求先の住所などがなくなり、見た目がすっきりしました。すっきりした分、データの取り扱いも簡単です。

さらに命令を工夫した様々なデータ加工
Edge CopilotのOCRで読み取ったデータの加工は、命令次第です。今回の画像データを使って、いろいろな加工を試してみました。
支払先と支払日、合計金額を抽出
「支払先と支払日、合計金額を抽出」とすると、読み込んだ請求書の要約を出力してくれます。

明細が省略され、支払いに必要な情報のみが出力されています。また支払先名までしか出力されていませんが、住所や電話番号が必要な場合は、その旨プロンプトに指示すればOKです。
利用日の指定と利用金額の計算
「1ページ目の利用日が9/15以降の明細を抽出し、その合計を教えて」とプロンプトで指示した結果です。

「利用日」に条件を当ててフィルタを掛けることもできます。上記の例では、「9/15以降」という条件を追加して明細を抽出し、その合計値を計算してもらっています。項目が多い場合は、計算までさせずに明細だけ抽出し、GoogleスプレッドシートやExcel上で改めて計算させた方が良いかもしれません。


OCR利用時の注意点
Edge Copilotを使ったPDFファイルの読み取りは非常に手軽で便利ですが、実際の業務に活用するうえでは、いくつか注意すべきポイントがあります。以下に、主な注意点をまとめました。
1. スキャンPDFは認識精度にばらつきがある
ファイル形式が「画像としてスキャンされたPDF(いわゆる非デジタルPDF)」の場合、Copilotは内部の文字情報を取得できないことがあります。このような場合、OCRの精度は画像の解像度やコントラストに大きく左右され、誤認識や情報の抜け落ちが発生することがあります。
対策:
- なるべく解像度の高いスキャンを使用する
- 文字が明瞭に印刷された書類を用意する
2. 手書き文字には対応が弱い
現時点のCopilotでは、手書きの文字(特にくずし字やクセの強い字)の認識には精度が高くありません。請求書に手書きの金額やメモが含まれている場合、それらは無視されるか、誤って解釈される可能性があります。
3. 表やレイアウトの崩れに注意
表形式で記載された情報をうまく認識できないケースもあります。たとえば、行ごとに複数の項目が並んでいるような場合、Copilotが正確に項目を区別できず、すべてが連結されたテキストとして扱われることがあります。
対策:
- 指示文に「表にして」や「項目ごとに整理して」と明示する
- 表示結果を確認し、必要に応じて修正する
4. PDF内のレイヤー構造に依存する
PDFが「テキスト情報付き」か「単なる画像」かによって、Copilotの動作は大きく異なります。テキスト情報付きのPDFであれば高い精度で読み取れますが、画像PDFではOCR的な処理が必要になり、その結果も限定的です。
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まとめ
Microsoft Edgeに搭載されたCopilotは、ブラウザ上で手軽に使える生成AIとして、PDFファイルの読み取りや要約など、日々の業務を効率化するさまざまなシーンで活用できます。今回のように請求書を読み取るといったOCR的な用途でも、テキストベースのPDFであれば十分に実用的な結果が得られました。
ただし、スキャン画像のような非テキストPDFや手書き文書に対しては限界もあるため、「正確なデータ化」が求められる場面では、専用のOCRツールとの使い分けが重要になります。
Copilotは、今後ますますビジネスシーンでの活用が進むAIツールのひとつです。まずは手元の請求書や文書ファイルで気軽に試してみて、その可能性を体感してみてはいかがでしょうか。